『スロバキアのともだち・はなとゆろ おるすばんのぼうけん』より

福井さとこ絵本原画展

スロバキアのともだち・はなとゆろ おるすばんのぼうけん

2018年7月6日〜17日 11:00~18:00 入場無料

 

お話会 7月8日(日)、14日(土)両日共14:00~

 

 

4歳くらいの頃です。家でひとりでおるすばんをしてました。

畳の部屋に寝っ転がっていると、ふと、ダンゴムシがいるのに気がつきました。

じーっと見ていると……ふいに、ダンゴムシが大きくなって、どんどん大きくなって、

うわ〜、家がふっとばされてしまう! あぶない、逃げろ!

とっさに思いついたのが、姉のいる幼稚園。

歩いて10分くらいはかかると思うんですけど、走って逃げ込みました。

「ダンゴムシがおうちをふっとばす!」

と言ったかどうかは忘れましたが、間もなく連絡を受けた母が迎えにきて

「すいません。この子は空想好きなもので、オホホ」なんて、やってたと思います。

ダンゴムシ事件は笑い話になりましたが、

空想じゃないのにな、でも、やっぱり空想なのかなと、ずっと思ってました。

ところが、最近「不思議の国のアリス症候群」という症状があるのを知り、

モノの大小が実際と違って見えたり、人の顔が歪んで見えたりという、

不思議な症状があるそうです。

多くは幼児期の一過性のものだそうですが、ああ、きっと、これだわ。

今度から、「私、こどもの頃、アリスだったの」って言おうと思います。

 

それはさておき、おるすばんって楽しいでしょ。空想し放題!

カーテンを体に巻きつけてドレスとかやったり、変な踊りをおどったり、

『スロバキアのともだち・はなとゆろ おるすばんのぼうけん』を開くと、

そんなワクワクを思い出し、心はこどもの頃に飛んで行きました。

 

福井さとこ 作  JULA出版局

 

布や棒切れでまほうをかけたり、テントウムシの背に乗って飛んだり、

空想で、何でも出来る。何にでもなれるし、どこにでも行ける。

スロバキアの呪文や名前にまつわる風習、童謡が盛り込まれた楽しいお話です。

スロバキアの人にとっては、当たり前の日常かもしれませんが、

日本の大人には、どこか懐かしい。お子たちには新鮮かも。

作者の福井さとこさんは、日本の美大を卒業後、

スロバキアを代表する版画家ドュシャン・カーライ氏に師事。

スロバキアのブラチスラバ芸術大学でカーライ氏のもと、版画を習得されました。

木版画のざっくりした線や色のかすれ、素朴な色調が、

スロバキアのお子たちの、のびやかな感性を思わせます。

本作は、ブラチスラバ芸術大学大学院卒業の卒業制作作品で、

福井さとこさんの絵本出版デビュー作になりますが、

2018年度、スロバキアの最も美しい絵本賞(学生部門)受賞されています。

今後の作品も楽しみな絵本作家さんのひとりですね。

美しい原画やスロバキアで制作された版画作品を、ぜひ、ご覧ください。

 

JUGEMテーマ:絵本作家原画展

たぬきの花よめ道中

町田尚子さんの絵本は不思議なリアリティがあります。

怪談えほんシリーズの『いるの いないの』を

最後まで読まれたなら、おわかりいただけると思いますが、

「まさか、そんな!」という衝撃。

「絶対、いるやん!」というリアリティ。

同時に「待って、見たことあるような気がする…」

次の瞬間「あれは、本当にいたのかな いなかったのかな?」

気付いた時には、自分の体験になっているというリアリティ。

 

怖いのは『あずきとぎ』です。

日本中、どこにでもある田舎の風景です。

ゆったりと流れる川の深い緑色、蝉の声、木々のざわめき

いや、ちがう? あれは何の音?

しょきしょきしょき

聞いたことある……

その瞬間から「あずきとぎ」は、

むかしむかし、あるところのお話ではなく

去年の夏、おじいちゃんの家で、というリアリティ。

 

自分のことのように感じられるリアリティは

絵本にとって、ひとつの重要な要素だと思います。

怪談ではありませんが、『ネコヅメのよる』を読んだら

夜道をネコが急ぎ足で横切ると、

ふと、今宵の月は? と夜空を見上げてしまう。

これぞ、町田マジック

 

最新刊『たぬきの花よめ道中』で、

人間に化けたたぬきを、どんな風に描かれるのか楽しみにしてました。

尻尾が見えてるとか、そんなありきたりな表現じゃないんです。

目ぢからハンパない。

たぬきの目をした人間、人間の目をしたたぬき。

あれ? 山から都会に出てきたのは、人間? たぬき?

どっちでもいいような気がします。

誰でも、多かれ少なかれ、化けの皮かぶってるんじゃないのかな。

だから、もし正体を見破ってしまっても

そっとしておきましょうよ。

大事なのは、好きな人と一緒にいることだから。

 

 

『たぬきの花よめ道中』

最上一平 作

町田尚子 絵

岩崎書店

 

『いるの いないの』

京極夏彦 作

町田尚子 絵

東雅夫 編

岩崎書店

 

『あずきとぎ』

京極夏彦 作

町田尚子 絵

東雅夫 編

岩崎書店

 

『ネコヅメのよる』

町田尚子 作

WAVE出版

 

 

あしたから書店員です。

不思議な感じです。

ここに住むようになって、間もなく20年です。

娘が生まれたころ、近くの公園は、まだ空き地で入れず、

検診などで区役所に行くと、同じ年齢の子がひしめき合ってるのに

みんな、どこで遊ばせてるの? と思うくらい

日頃は、近所で姿を見かけませんでした。

私はというと、車に乗せて遠くの広々とした運動公園まで連れて行き、

走り回らせて疲れさせて寝かすという、いわゆる放牧ですね。

おそらく、他の皆さんも同じような感じだったのではと想像します。

娘が小学校に入学した頃に、ようやく公園が整備され、

徐々に親子連れの姿が増えていきました。

そして、長男が入学した頃、当時の校長先生から

図書室を整備したいので手伝ってもらえないか、

とお電話をいただき、とりあえず図書室を見に行きました。

昼休みの図書室では、図書委員の子たちが野球してました。

誰も本を読みに来ないし、ボロボロで背表紙の字が読めない本もたくさん。

本の分類方法が統一されておらず、どうやら文芸とそれ以外に分かれてる様子。

探したい本の手がかりも掴めないし、どこに戻したらいいかもわからない。

確かに利用しにくい図書室でした。

これを、日本十進分類法にしたがって統一したい。

奥付を見ると、N.D.C.726とか書いてある、あれです。

本があるべき場所にあるようにしたいと、先生はお考えでした。

公共の図書館もこの分類法にしたがって配架されています。

と、聞いてます。

私たちは、小学校用に簡略化された適用例を参考にしましたが、

小学校とはいえ、図書室の本全部だと何千冊……

ひたすらラベルを貼り替え、破れた本を修繕し、大変でした。

大変だけど、この作業、好き。よくぞ、私にお声掛けくださった。

それ以来、図書ボランティアです。

先生の情熱が実を結び、図書室は見違えるように綺麗になりました。

ここで野球をしようなぞ誰が思いつくものか、というくらい。

図書室がきちんと整備されると、児童たちが本を読みにくるんです。

昼休みの終わりを告げるベルも耳に入らないほど、熱中するんです。

ちゃんとした場所さえあれば、本を読むのが好きな子はたくさんいるんです。

公園が出来て人の動きが変わったことと図書室が機能し始めるのを間近で見たことで

町に本屋ができたらいいのになぁ、という思いが次第に膨らみ始めました。

物置に使っていた家も雨漏りがひどく、直すか潰すかの選択を迫られてました。

誰かここで、本屋やらないかなぁ。

誰かって、、、あたしか。

そういうわけで、あたしから本屋はじめます。

あしたから書店員です。

ふしぎなえ

『ふしぎなえ』

安野光雅 作

福音館書店

 

 

幼稚園のころ、絵本を持ち帰る日は、私はとても嬉しそうにしていたそうです。

紫地に花かごの刺繍が入った、大人っぽい絵本バッグが自慢だったのは、よく覚えています。

「この絵本、好きだ」と自覚した最初の絵本は、

安野光雅さんの『ふしぎなえ』

これを、どこで見ていたかというと、町内のお寺でした。

公園などありませんでしたし、低学年の子どもが気兼ねなく集まれるのがお寺でした。

お寺のこじんまりとして手入れの行き届いた庭の花や飛び交う蝶を眺めたり、

みんなで、だるまさんがころんだをしたり、ただ、ゴロゴロしたり

時々、「仏様に足向けたらあかんよ」とたしなめられたり、

花祭りの飾り付けのお手伝いをさせてもらったこともありました。

お寺にはピアノがあって、週に1〜2度、きれいな先生が来てピアノ教室になりました。

私は、別のところで習っていたので、その時間は、お寺の本を読んで過ごしました。

お釈迦様の誕生、とかなんとかいう本に混じって『ふしぎなえ』がありました。

見れば見るほど、不思議な絵です。

何度も何度も、ページをめくりました。

そのうち、境内のどこかに、とんがり帽子の小人がひそんでるんじゃないかと、

庭の草花の根元を、じっと目を凝らして待ってたりしました。

学年が上がると、徐々に絵本よりも文字の多い本を読むようになり、

スポーツに夢中になって、本から離れた時期もありました。

ただ、何か絵を描こうとした時に、頭に思い浮かぶのは『ふしぎなえ』。

高校生の時に、お小遣いで『ふしぎなえ』を買いました。

自分で買った、最初の絵本だったと思います。

大学は美大を受験して、面接で「絵本作家になりたいです」と言ってました。

絵本作家にはなりませんでしたが、絵本屋になります。

「この絵本、好きだ」と言っていたいのだと思います。

『ふしぎなえ』を好きになって以来、ずっと。

ただ、もう、大人なので小人が現れるのを待ったりしてません。

隠れているのをおどかさないようにしています。
ですから、お行儀があんまりな子には「あかんよ」と、たしなめるかもしれません。

ウィンドウの飾り付けのお手伝いを頼むかもしれません。

そんな感じの絵本屋になりますが、よろしければお立ち寄りくださいませ。

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